詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
 



「あら、裸木(らぎ)?
 それとも、裸(ら)木(ぼく)?」

──裸(はだか)木(ぎ)。

それは、ただいちまいの葉さえまとうことなく立ち尽くしている。

されど
豊かである。

たとえ、いまは裸でも。

陽の光を全身にあびて、深く長い呼吸をしているのだ。

いつの日か
角ぐみ芽ぶくために。

俺も裸だ。

俺にはなにもない。

されど
豊かである。

まことに豊かである。

俺の胸のなかは、おまえを思う気持ちに満ちている。

おまえを思う気持でいっぱいだ。

春になったら
いっしょになろう。
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