詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
羽ばたいた。
葉ずれ、羽ばたき、羽ばたく音が
遠ざかる。
遠ざかる。
なにかが水面を跳ねた。
沈んだ。
消えた。
消え失せた。
なにかが草のうえに落ちた。
擦った。
走った。
走り去っていった。
ぼくには見える。
ぼくには聴こえる。
ぼくには感じることができる。
だれが指揮するわけじゃないけれど
ここに、こうして立っていると
はじまるのだ。
森のシンフォニーが。


二〇一五年七月十九日 「輪ゴム。」


輪ゴムが、ひとつ、落ちてた。

白い道、
アスファルト・コンクリート、の、上に。

輪ゴムが、ひとつ、落ちてた。

夏の、きつい、あ
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