詩の日めくり 二〇一五年七月一日─三十一日/田中宏輔
シンフォニー。」
ぼくには見える。
ぼくには聴こえる。
ぼくには感じることができる。
だれが指揮するわけじゃないけれど
葉から葉へ、葉から葉へと
睦み合いながら零れ落ちていく
光と露のしずくの響きが
風の手に揺さぶられ、揺さぶられて
枝の手から引き剥がされ落ちていく幾枚もの葉っぱたち。
水面に吸い寄せられた幾枚もの葉っぱたち。
自らの姿に引き寄せられて
くるくると、くるくると
舞い降りていく。
幾枚もの葉っぱたちの響きが
小さな波をいくつもこしらえて
つぎつぎといくつもの同心円を描いていく
揺れる葉っぱたち、震える水面。
樹上を、なにかが動いた。
羽ば
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