詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
気持になる。

明るくって
あたたかくって
なにか、いいものがいっぱい
ぼくのなかに降りそそいでくる
って
そんな感じがする。

まだ高校生のぼくには
しあわせって、どんなことか
よくわからないけど
たぶん、こんな感じじゃないかな。

行く手の道が
スカスカの木漏れ日に
明るく輝いてる。


二〇一五年六月三十一日 「お母さん譲ります。」


「あのう、すみません。表の貼り紙を見て、来たのですが。」
呼び鈴が壊れていたのか、押しても音がしなかったので、扉を開けて声をかけてみた。
「また、うちの息子の悪戯ですわ。」
不意に後ろから話しかけられた。

[次のページ]
戻る   Point(18)