詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
いまでも
ぼくは思い出すことができる。
いつか
近所の神社で
月が雲に隠れるよりはやく
ぼくたち、月から隠れたよね。
形は変わっても
あの日の月は
空に残ったままなのに
あの日のぼくらは
いまはもう
隠れることもなく
現われることもなく
どこにもいない。
二〇一五年六月三十日 「木漏れ日のなか。」
きょうのように晴れた日には
昼休みになると
家に帰って、ご飯を食べる。
食べたら、自転車に乗って
賀茂川沿いの草土手道を通って
学校に戻る。
こうして自転車をこいでいると
木漏れ日に揺すられて
さすられて
なんとも言えない
いい気持
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