詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
、いつ、どこに行っても、すてきな思い出が待ち構えていて、ああ、齢をとるって、こんないいことだったんだって思う。
二〇一五年六月二十一日 「まぎらわしい。」
マンションの部屋にいると、ときどき、車が迫ってくる音と、雨がきつく降ってくる音が似ていて、まぎらわしい。何度か、あわててベランダの窓を開けたことがあった。洗濯物を取り込もうとして。
二〇一五年六月二十二日 「デジャブ感ありだけど。」
ジュンク堂で、ゲーテの『ファウスト』の第二部といっしょに、ジュリアン・グラックの『シルトの岸辺』と、プッツァーティの『七人の使者・神を見た犬』を買った。『シルトの岸辺』は
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