詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
っきりしてるんだ。
ぼくの足の甲のへこんだところは痛みだけでなく、
梯子のあちこちの圧力も感じつづけるんだ。
大きい枝が曲がると、梯子が揺れるのを、ぼくは感じる。
それでいて、ぼくの耳には聞こえずにはいられないんだ、地下室のふたつきの大箱から
ゴロゴロいう音が
ぼくが摘み取って収蔵したりんごの積み荷という積み荷のもののね。
というのも、ぼくが、たくさん摘み取り過ぎちゃったからなんだけどね。
疲れすぎちゃったよ。ぼく自身が望んだ通りのものすごい収穫だったんだけどね。
ぼくの手が摘み取った果実は、1000万個もあったかな。
やさしくていねいに手で摘み取って、降ろすんだ、落とすんじゃ
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