詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
くの瞳から拭い去ることができない。
それは一枚の窓ガラスを通して見たものから得たものだけど
今朝、飲料用の水桶から水をすくい取って
そうして、涸れかけた草の世界を守ってやろうとしたんだ。
手にした草はへたっとしてたから、そいつを落として、踏みつけて、ばらばらにしてやった。
でも、ぼくは満足だったんだ。
そいつが地面に落っこちるまえまではずっと順調だったんだ。
ぼくにはわかってるんだ。
まさに見ようとしていた夢を、いったい、なにがつくりだすのかって。
巨大なりんごが現われたり消えたりするんだ、
幹の先っちょや花の先っちょでね、
それでいて、赤りんごのどの白い斑点もはっきりくっき
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