詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
て、まだ作品にしてない思い出とかいっぱいあって、これからそれを作品にしていけると思うと、なんか幸せな気分にあふれてきた。齢をとって、自分自身が若さとか美しさから遠くなったために、客観的に見れる若さとか美しさのはかなさがよくわかるような気がする。たとえ若くて美しくても、なんの努力もしていないのに、持ち上げられてちやほやされるというのは、とても愚かしいことだった。そして、それが愚かしいことだったということがわかることが、とても大事なことのように思える。たくさんの文学が、その愚かさについての考察なのではないだろうか。ぼくの作品も例外ではなく、その愚かさについての考察であるような気がする。愚かで愛おしい記
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