詩の日めくり 二〇一五年六月一日─三十一日/田中宏輔
こ、いま、という場所と時間を離れた、どこか、いつかに属する、時制の束縛を知らないものになっていたのだった。「詩とはなにか」という問いかけに対するもっとも端的な答えは、「詩とはなにか」という問いかけを無効にしてしまうものであるだろう。なにものであってもよいのだ。詩とはこれこれのものだと言う者がいる。たしかに、そうだとも言えるし、そうでもないものだとも言えるのだ。100の答えに対して、少なくとも、もう100の答えが追加されるのだ。1つの詩の定義がなされるたびに、2つの詩の定義が増えるのだ。
二〇一五年六月十二日 「弟」
いちばん下のキチガイの弟から電話があった。ぼくが自殺すると思
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