五人五色/道草次郎
 
在は
この二者を往復することに飽き飽きしている

ときどき会社のトイレの個室で
ヴェスヴィオ火山が噴火する夢を僕はみてしまう



「詩人」

詩人さんは詩を書いていない日も
詩のことで頭がいっぱいです
本人にしてみたら
望んでそうしているわけではないのですが
どうしても頭から
詩のことが離れないのです
今夜もほら
あちらこちらの寝室で
唸り声を上げているのが聴こえるでしょう?
枕に頭を押し付けて
ほっそり頼りない首すじはやけに生々しく
月光を浴びたシーツは白々と
夜はいつだってそれはそれは長く続くのです
詩人さんには奥さんも子どももいるのですが

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