五人五色/道草次郎
在は
この二者を往復することに飽き飽きしている
ときどき会社のトイレの個室で
ヴェスヴィオ火山が噴火する夢を僕はみてしまう
「詩人」
詩人さんは詩を書いていない日も
詩のことで頭がいっぱいです
本人にしてみたら
望んでそうしているわけではないのですが
どうしても頭から
詩のことが離れないのです
今夜もほら
あちらこちらの寝室で
唸り声を上げているのが聴こえるでしょう?
枕に頭を押し付けて
ほっそり頼りない首すじはやけに生々しく
月光を浴びたシーツは白々と
夜はいつだってそれはそれは長く続くのです
詩人さんには奥さんも子どももいるのですが
こ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)