至って不真面目/ただのみきや
「今さっき出ましたよ 」
「まだ一分あるのに最近のバスは酷いもんだ! 」
「そうですね 」
「だって今二時二十五分になったばっかりだよ! 」
「もう二時三十分ですよ 」
「……私の時計は二十五分だけど! 」
「スマホで見たから間違いないですよ 」
「……あらそうかい 」
鬼ごろしを啜り終えたころ
予想通り
婆さんのよもやま話が始まった
彼女の怒りと不満は人生の多岐に及び
複数の赦すことのできない悪者を抱えていた
ふわりふわり相槌を打ちながら
バスが来るまでの間
わたしは婆さんについて多くの知識を得た
苦労人で働き者
立派な人だった
だから鬼婆になったのだろう
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