あなたはただ佇んでいる、それがわたしには心地好い/ホロウ・シカエルボク
る、でもどう転んでも眠れる気がしなかった、そうだ、と俺は思いついた、あそこを散歩してみよう、派手な音を立てなければ、どこかに忍び込むことだって出来るかもしれない、すぐに服を着替えて、外に出た、あたりの住宅はすべて眠りについているようだった、昼間でもそんなに活気は感じられないところだ、そんなに気を遣うことはないだろう、駐車場の真裏になっている家を選んで、開いたところから潜り込んだ、足元は意外にしっかりしていた、窓や玄関が全開になっていなければ、誰かが住んでいるのではないかと思えるくらいだ、本棚を眺めたり、調度品を眺めたりしながらすべての部屋を見て回った、他人の生活を覗き見るみたいで楽しかったが、特に
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