あなたはただ佇んでいる、それがわたしには心地好い/ホロウ・シカエルボク
特に何か、自分がこの場所について抱いている疑問を晴らしてくれそうなものは見当たらなかった、そんな風に数軒を覗いた、結果は同じことだった、でも俺は満足していた、余計にこの通りが好きになった、理由なんて説明出来ない、ただこの通りほど、俺が散歩するのに適した通りは無いように思えた、家に帰ってぐっすりと眠った、次の日も同じような日だった、そんな日が三日ほど続いた、交通事故に遭って三ヶ月歩けなかった、ようやく動けるようになって外に出ると、あの通りはすっかり更地になってしまっていた、俺は立ち尽くした、どうしてだろう、そんなこと考えたこともなかった、あれはずっとここにあるんだと思っていた、すぐに家に帰って椅子に座り長いことぼんやりとしていた、なにも食べる気にならなかったし、喉も渇かなかった、気が付くともうすぐ夜になろうとしていた、今夜はきっと眠れないだろう、そう思いながら食いたくもない晩飯の為に少し出かけることにした。
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