にごり水もみず/道草次郎
慎重によくないものを除いたら
きっと出来上がったものはすでにぼくじゃない
ぼくは自分と上手く付き合うのがへただ
ただそれだけのことを言うのに
こうやって大事な何かさえを砕いてしまう
どうすればいいんだろう
ぼくは救われたいのではなく
ただ腹がへったので飯を食う餓鬼だ
いきていることはしばしば平気な顔の仮面であるから
倫理の栞をぬくとそれはたちまち蒸発してしまう
この言葉の羅列が叩き売れるなら
ぼくは喜んでそれをうるだろう
骨までしゃぶってしまうかもしれない
なんの骨だったか
そんなこと見向きもせずに
「海」
小石を投げる。
すると一つの波紋が外側へ向け拡
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