詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
が生じる。作品を読んでいるときに、どこかで電流が流れているのかもしれない。言葉と言葉がつながって、電流のようなものが流れているのかもしれない。頭のなかに磁場のようなものが生じているのではないだろうか。そんな気がする。すぐれた作品のみならず。


二〇一五年五月二十七日 「巣箱から蜂蜜があふれ出てしたたり落ちていた」


 高知の窪川に、ぼくを生んだ母に会いに行った。ぼくが二十歳のときだった。はじめて実母に会ったのだった。近所に叔父の家があって、その畑があってた。畑では、隅に蜜蜂の巣箱があって、巣箱からは、蜂蜜があふれ出てしたたり落ちていた。その数年後、叔父が木の枝に首をくくって亡くなっ
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