詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
た。


二〇一五年五月二十四日 「濡れたマッチ」


濡れたマッチには火がつかない。
ぽろぽろと頭が欠けていく。


二〇一五年五月二十五日 「記憶再生装置としての文学」


 記憶再生装置としての文学。自分の作品のみならず、他人の作品を読んだときにも、忘れていたことが思い出されることがある。このとき注意しなければならないのは、読んだものの影響が記憶に混じってしまっている可能性がゼロではないということ。まったく事実ではない記憶がつくられる場合があるのだ。


二〇一五年五月二十六日 「磁場としての文学空間」


 磁場としての文学空間。電流が流れると磁場が生
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