詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
まるで別人のような変わり方をしていた。
かわいらしいやさしそうな表情は
いかつい意地の悪い感じになっていた。
なにがあったのか知らないけれど
20代前半のうつくしさは
まったくどこにも残っていなかった。
「その子と
きょうはいっしょなんや」
少し前に、ぼくが知り合った子と
ぼくを見て。
「きょう、オレんちに泊まりにくる?」
そう言ってくれたケイちゃんの面影は
そう言ってくれたケイちゃんに
ちゃんと返事できなかったぼくを
ゆるしてくれたケイちゃんの面影はどこにもなかった。
ある年齢をこえると
がらりと顔が変わるひとがいて
若いとき
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