詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
ときの面影がどこにもなくて
そう言うぼくだって
若いときの童顔は
見る影もなく
いまは、いかついオジンになってしまっているけれど
付き合った子たちと
また会うってことは、ほとんどないのだけれど
ひとりだけかな
前の恋人だけど
きょうも会っていて
ぼくは日知庵で飲んでた。
ヨッパのぼくに
「はよ恋人、見つけや」
そう言われたぼくは笑いながら
「死ね」
って言い返していた。
店の外に出たときに言ったから
繁華街の道を歩いてるカップルたちが
驚いて、ぼくの顔を見ていた。
前の恋人は、別れてからも魅力的で
それがいちばんくやし
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