詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
と訊くと「似合ってましたか?」と訊いてきたので、「かわいかったよ。」と言うと、横を向きながら(横を向いてなにか作業をするという感じじゃなかった。)レジを操作して、ぼくに釣銭を渡してくれたのだけれど、その男の子の指が、ぼくの手のひらに触れる瞬間に、ちらとぼくの目を見つめ返してくれた目が、かつてぼくが好きだった男の子の目といっしょで、ドキドキした。名前をしっかり見た。かつてぼくが好きだった男の子というのは、下鴨に住んでたとき、向かいのビリヤード屋でバイトしてた九州出身の男の子のこと。住んでたとこの近くで会ったとき、目があって、見つめ合って、ぼくが声をかけたのだった。そのあとは、彼の方が積極的になって「
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