詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
 
シテ」とかあって、どんな厭な話なのだろうと楽しみである。厭な話を楽しみにしているというのも変だけど。表紙の赤ん坊の人形の顔面どアップが怖い。スタージョンの『人間以上』の、むかしの文庫本の表紙も怖かったけど。ありゃ、オコナーの「前任はそういない」は「善人はそういない」だった。間違ったタイトルでも、おもしろそうだけど、笑。すみません。


二〇一五年五月十三日 「檻。」


どちらが脱獄犯で、どちらが刑務官か
なんてことは、檻にとっては、どうでもよかった。

彼の仕事は、ただひとつ。
──鍵の味を忘れないことだけだった。


二〇一五年五月十四日 「言葉と言葉のやりとり」

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