エデン〈小噺〉、他/道草次郎
きた認識の発展の歴史こそ、他でもないこのイマジネーションの所産である事をここに告白せねばならない。アダムとイブ、その他多くの鳥獣たちが有する神経シナプス(もしくはそれに類するなにか)が辿る無際限の組合せによる当然の帰結、それが認識主義宇宙の歴史であり全てなのだ。
それは、喩えばこういう事である。エデンの住人の頭の中に、一台ずつレトロなタイプライターが設えられているとする。そしてその前にはやんちゃな猿がいて、ひたすらにデタラメなキーを打ち込んだとする。一兆ミレニアムに一度、『ハムレット 』や『ベニスの商人』が仕上がれば上出来。とまあ、そんなあんばいなのである。認識の発展の歴史が書かれるのに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)