エデン〈小噺〉、他/道草次郎
 
のに要した時間のことで猿をからかえば、さすがの猿たちも自殺しかねないので注意が必要だ。そうなのだ、時間はうんざりする程たっぷりある。ここ、認識主義的宇宙のエデンの園には何の限界もない。全てが時間という無尽蔵の餌に飼われた家畜なのだ。

 おっと、どうやらこの話はずうっと昔の事のようだ。なぜなら、蛇だけはずいぶん不服そうなツラをしているからだ。蛇だけに薮蛇とならぬか心配ではあるが…、お後がよろしいようで。





『エデン〈童話風〉』〜虹色の蛇〜

 世界が生まれたばかりのころのお話です。空にはまだ月がありませんでした。星たちも少なく夜はじつにさみしいものでした。神さ
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