詩の日めくり 二〇一五年四月一日─三十一日/田中宏輔
タイオーン
ケンタウロスのケイローンに狩猟の手ほどきを受けた
アクタイオーン
カドモスの孫
アクタイオーンが
尊い女神のアルテミス、
ディアーナのもろ肌を見たため
呪われて鹿となり
自ら連れ出していた五十頭の猟犬たちに咬み殺された
アクタイオーン
きみは教えてくれたんだね。
女神のもろ肌を見たせいで鹿にされて
自分の犬に皮膚をずたずたに引き裂かれて死んだ
アクタイオーン
茂みから、ふいに飛び出してきた鹿を見ることは
自分を見ること。
鹿を見ることは、自分を見ること。
そもそも、見るとは、自身を省みること。
自らを引き裂き、統
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