詩の日めくり 二〇一五年四月一日─三十一日/田中宏輔
の夏草を眺めやる。
ぼくの舌も、ぼくの血液のあらゆる原子も、この土、この空気からつくり上げられ、
ぼくを産んだ両親も同様に両親から生まれ、その両親も同様であり、
今ぼく三七歳、いたって健康、
生きているかぎりは途絶(とだ)えぬようにと願いつつ、歌い始めの時を迎える。
あれこれの宗旨や学派には休んでもらい、
今はそのままの姿に満足してしばらくは身を引くが、さりとて忘れてしまうことはなく、
良くも悪くも港に帰来し、ぼくは何がなんでも許してやる、
「自然」が拘束を受けず原初の活力のままに語ることを。
(ウォルト・ホイットマン『草の葉』ぼく自身の歌・1、酒
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