美しいヘマのしでかし方/ただのみきや
逸脱した日々
――ではなく
広い余白の中にただ一行
置き去りにされた詩のように
書くことで二重に存在し やがては
懐かしい知人と化してしまう
雲雀の鳴くころ目を細めている
わたしはいったい誰か
まして他人が読むわたしなど
読み人の影を映す文字の素体だ
しっぽ盗り
頭上でひとつの鍋が煮立つ
鍋が煮立つのは頭のせいだ
頭は債権者であっても所有者ではない
すでに魂は破産した
思考は頭上に罪過を積み上げる
逆ピラミッド型に天高く
奈落への迷路が螺旋に穿つ
着飾った棺 裳裾に忍ぶ風
雪 月 紙 骨 みな白く
皮を?がれて血は赤
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