詩の日めくり 二〇一五年三月一日─三十一日/田中宏輔
 
きどき、かけて
飼い主を、ちょこっと走らせてあげよう。
家を出たときと
ほら、空の色が違っているよって
わんわん吠えて教えてあげよう。
みんな、犬になって
飼い主に、元気をあげよう。
ひとを元気にしてあげるって
とっても楽しいんだよ。
みんな、犬になろう。
犬になって
くんくんかぎまわって 世界を違ったところから眺めよう。
犬のほうが
地面にずっと近いところで暮らしてるから
きっと人間だったときとは違ったものが見れるよ。
尾っぽ、ふりふり
鼻先くんくんさせて
みんな、犬になろう。
犬になって
その四本の足で
地面を支え
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