詩の日めくり 二〇一五年三月一日─三十一日/田中宏輔
書いているなあって思った。
ちなみに、この2行目から、つぎのような詩句を思いついた。
たしかに、自分の知恵に振り回され、きりきり舞いさせられるというのが、人間の宿命かもしれない。どんなに機知に長けた知恵であっても、そこに信仰に似たものがなければ、すなわち、人間の生まれもった善というものを信じることができなければ、あるいは、人間がその人生において積み重ねた徳を信じることができなければ、知恵には、何ほどの値打ちもないものなのに。
そう思う自分がいるのだけれど、しばしば、言葉に振り回されることがある。思慮深く対処すれば、その言葉の発せられた意図を汲み取ることが容易なはずなのに、浅慮の
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