詩の日めくり 二〇一五年三月一日─三十一日/田中宏輔
high
Over the chained bay waters Liberty─
(Hart Crane. To Brooklyn Bridge)
幾朝、小波の寝所に冷えとおる
鴎の翼は急降下、錐揉みさせて
白い波を投じつつ、鎖で囲われた
湾上高々と「自由」を築き接ぐや─
(ハート・クレイン『橋』序章 ブルックリン・ブリッジに寄せる歌、森田勝治訳)
これは、『ハート・クレイン『橋』研究』にある、森田さんの訳なんだけど
原文に忠実な訳は、この人のものだけだった。どこの箇所に関して言及しているのかといえば、2行目である。ほかの訳者の翻訳部分を書き並べると
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