詩の日めくり 二〇一五年三月一日─三十一日/田中宏輔
 
いる。
ただ言葉が言葉に迷っているだけなのだろうけれど
意味が意味に迷っているだけなのだろうけれど
樹は自分の姿を振り返っていることに
まったく気がつかないまま
もくもくと歩いている。
「事実ばかりを見てても
 ほんとのことは、わからないよ。」
「わかるって前提で、話をされても・・・」
ここには意味しかない。
だったら、がっかり。
意味しか意味をもたない?
だったら、がっかり。
現実さえも
ただ語順を入れ換えるだけの操作で
目いっぱい。

いっぱい
なのだけれど
自分の書いているものが
よくわからないということを書くた
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