過去から歩いてきた血液 他一篇/道草次郎
祈祷のダンスに没入する。オーストラリア大陸ほどもある巨大な彗星が地球の大気層を今まさに燃やさんと齧りつきつつあるのを睥睨しながら。
「コタツのソラリス学」
ジャスコへ行かなきゃ…ジャスコへ行かなきゃ…。みんな何故かそう囁くのだ。コタツは長方形。一辺につき一人の計算だ。擬似父、擬似母、擬似兄、擬似自分がそれぞれ首まですっぽり窄まっている。こたつの中はまるで蛸壺。蛸脚の戦争みたいだ。「ねえ、とおさん、だって南西の空にはもう彗星が尾を引いてるよ。何でこんなアルマゲドンな日なのにジャスコへ買い出し行くことなんか気にするの?」「なあ、お前。これは夢なんだよ。いや厳密にいえばお前の創作なんだ。
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