落穂/道草次郎
 
のは、絶滅した大型哺乳類たちの驚くべき青春群像だ。人新世として未来の地質学者に区分されるであろう年代の曙に於いて、血みどろの闘いを人類と繰り広げた偉大なる牙の持ち主達の恋と友情。彼らの寂しげな瞳の中に映った澄明な原始の大気にたゆたう大麻タバコの煙と、隆起して間もないユーラシア大陸の咆哮、そこでの性と暴力、家族の絆。マンモスもハイスクールに通っていたかと思うと、さらに物語はその深みを増すのだ。


「バイオロジカル・グミ」

地球は一つの有意の天体ではない。従って、瑞々しいバイオロジカルなグミを抓む神の指も数十億年と止まない確率論の雨にふやけてしまう。別の物理法則が支配している宇宙を想像。
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