落穂/道草次郎
ほんとにばかだしみっともない
自分に批判的になるのは容易だ
そしてそれで事足りるとふんでいるのなら大した自信家だ
なにかこう
でかいものの下でわれわれは起床し働き生活し
まみえ眠りそして祈り朽ち死ぬことをなぜ忘れてしまうのか
それは自然なんてものでも宇宙なんていうものでもない
もっと実感のあるものだそれは
薄汚い作業服だそれは
黒い瞳だそれは
穴の空いた靴下だそれは
のちうちまわる脂汗のため池だ
それは
こういうむかむかとした感情を
小手先の比喩で腐らせるのはもうよそう
立つことからしか始まらない
立ち
そして竦むことから
ぼくは百年は死んだままだろう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)