落穂/道草次郎
 
いような気がする。それは、幾人かの同じ体験をした者が寄り集まり、死んだ空にまずは皆で黙祷を捧げることからしか始まらない、何かではないだろうか。


「なだらかなもの」

背中の神様をおろしてみると
神様ではなくて
ただの中ぐらいの岩だった

なだらかなものなら何でも良い
目に和歌を詠んでくれるはずだ

想像はうつくしい
なで肩と山の尾根を
同時に想い浮かべることもできる
ほんとうに
それはうつくしいこと

救われていくものと
掬われていくものと

一つも見分けられず
時だけが波状に
同心を喪失しながら拡散していく


「諌言詩」

清流を泳ぐ
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