サイレントチンドン/ただのみきや
る
苦笑 ロマンスの壊死
捨てられた吸殻と河面の微かな叫び
指先を黒く染める青インク
ずぶ濡れで魚を買って帰る顔のない女
乗り捨てられた子供の自転車
銀色の微かな刺殺ベルが鳴った 予感
不安
少し先の未来が恐い
凝視しようとすれば震えが起きる
自分の幻が自分のすぐ先を歩いている
寒い夜だった
ただ暗い道が続いていて
貧困に苛まれ
己が生を死産の子のように抱いて
黙々と暗い吹きさらしの橋を渡って行く
どこかへ歩いてはいるが
たどりつく場所があるのだろうか
そこは温かい場所だろうか
さかしま
この橋は長
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