銀焔絶歌/道草次郎
じぬとか
裏切るとか裏切らぬとか
そういうことは春の海
少なくともは
ウスバカゲロウ泡沫の夢
そうだ
たしかにこうしていると
堕することの当たり前が身にしみて
それはもはや疑われない
けれどもこの何もかもが浮雲で
海月のようなものだから
やっぱりなんにもならないと
答えを押し遣る波のような腕も
あるはあるのだ
なかんずく
透明なものは失われはした
だから
この打ち続く瀬戸際も
しらじらとした東雲やとげとげした柊
くらくらする拍動も暗い森に迷い込んで久しい
この陳述の裸子植物は白亜層から現れて
漸新世の篝火を背に立っている
そうして
こんにちとい
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