詩の日めくり 二〇一五年一月一日─三十一日/田中宏輔
ど
「人間のにおい」だなんて、いまのぼくには思えない。
「ぼくのにおい」だったのだ。
二〇一五年一月四日 「登場人物と設定状況」
文学作品を読んでいて、その登場人物のことや、その作品の設定状況などについて考える時間が多いのだが、一日のうち、あんまり多くの時間をそれに費やしていると、頭のなかは、その架空の登場人物や設定状況についての知識と考えにとらわれてしまって、じっさい現実に接している人間についてよりも多くの時間を使っているために、現実の人間についての考察や現実の状況についての考察を、架空の人物や設定状況の考察よりも手薄くしてしまうことがあって、ああ、これは逆転しているな
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