詩の日めくり 二〇一五年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
 「服役の記憶」


住んでいた近くのスーパー「大國屋」の

いまは
スーパー「お多福」と名前を替えているところでバイトしていた
リストカットの男の子のことを書いたせいで
10日間、冷蔵庫に服役させられた。
冷蔵庫の二段目の棚
袋詰めの「みそ」の横に
毛布をまとって、凍えていたのだった。
これは、なにかの間違い。
これは、なにかの間違い。
ぼくは、歯をガチガチいわせながら
凍えて、ブルブル震えていたのだった。
20代の半ばから
数年間
塾で講師をしていたのだけれど
27、8才のときかな
ユリイカの投稿欄に載った『高野川』の
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