詩の日めくり 二〇一五年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
ゆる言葉が赤く染まって輝いていた
言葉の死体はもう十分死んでいたとでもいうように起き上がると
手のひらや腕や肘についた言葉の砂を払い落として
つぎの死に場所を求めて足を踏み出した

言葉の死体はバラバラになった自分の死体を見つめていた。
言葉の死体は
言葉でできた自分の身体を切断し、腑分けしていった
言葉の指を切断し
言葉の目を抉り出し
言葉の舌を抜き
言葉の腹を切り裂いて
言葉の内臓を紙の上に撒き散らした
それから
言葉の死体は
自分の身体をつぶさに見つめながら
口と耳のまわりに指を縫合し
いらなくなった腕を捨てて
膝から下を切
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