詩の日めくり 二〇一五年一月一日─三十一日/田中宏輔
電気消して二度寝してたら幻聴がして、たくさんの人がいる場所の声がして、とつぜん、布団のうえから人が載ってる感じがして、抱きしめられて、怖いけど、なんか愛情みたいなの感じたから、耳なめて、って声に出して言ったら、かすれた声が耳元でして、耳に息を吹きかけられて気持ちよくなって、ええっ? ほんまものの霊? って、思って、ぼくのむかしの彼氏のうちのひとりかなって思ってたら、気持ちよく頭をなでられたので、あれっ、ドアの鍵してなくて、いま付き合ってる子がいたずらしてるのかなって思って、電気のスイッチに手を伸ばして電気つけたら体重もすっとなくなって気配も消えた。こんなに生々しい肉体の感触のある幻覚はひさしぶり
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