詩の日めくり 二〇一五年一月一日─三十一日/田中宏輔
 
てくれそうな雰囲気になったので、「食べていけるぶんだけはちゃんと稼いでるから、だいじょうぶやで。」と言うと、「なにかあったら電話してや。」とのこと。ありがたい申し出だったのだけれど、25才で芸術家になると宣言して家を出て30年。意地でも自立して生きてきたのだ。いまさらだれにも頼る気はない。人間はまず経済的自立にいたってこそ、自由を獲得できるのだ。芸術はその自由のうえでしか築けるものではないのだ。


二〇一五年一月八日 「少女」


 二日まえから少女と暮らしている。まだ未成年だ。大坂の子らしい。すこしぽっちゃりとして、かわいらしい。肉体関係はない。けさ帰ってしまった。ぼくの夢のなかに
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