詩の日めくり 二〇一五年一月一日─三十一日/田中宏輔
取れることはそれほど多くもないということで、そういう彼らを、自分の人生という劇に登場してくる架空の人物なのだと思うことは、それほどおかしなことではないようにも思われる。ただ、現実の人間のほうが感情の起伏も激しいし、意外な面を見せることも多くて、文学作品のほうが驚きが少ないような気がするが、それは、つくりものがつくりものじみて見えないように配慮してつくってあるためであろう。これはこれでまた一つの逆転であると思われる。皮肉なことだ。
二〇一五年一月五日 「主役と端役」
日知庵でも、よく口にするのだが、ぼくたちは、それぞれが自分の人生という劇においては主役であり、他人は端役であるが
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