詩の日めくり 二〇一四年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 

二〇一四年十二月七日 「言葉」

北半球では
言葉も
東から上り
南で最高点に達し
西に沈む。

二〇一四年十二月八日 「興戸駅」

これって生まれてはじめての経験かも。
ぼくがびっこひきひき歩いていたら
後ろから歩いてきた学生たちが
みんな
ぼくを横切って
ぼくの前を歩いていった。
ぼくだって歩いていたのに
なんだか
ぼくだけが後ろに
ゆっくりとさがっていってるような
そんな気もした。
なにもかもが
ゆっくり。

ぼくが見上げた空は
たしかにいつもよりゆっくりと
風景を変えていった。

いつもより
たくさんの
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