詩の日めくり 二〇一四年十二月一日─三十一日/田中宏輔
とも、実母が年寄りなので、差別語というものを知らないのか、
「あの子は、ちんばひきよってね。かわいそうに。」と言っていました。
もちろん、差別意識はなく、使っていた言葉だと思います。
十年以上前ですが、実母が泣きながら、電話で、ぼくに謝っていました。
ぼくの父親が実母と別れた理由のひとつに
実母が被差別部落出身者であることを
結婚するまで、ぼくの父親に隠していたとのことでした。
それが原因のひとつで、ぼくの父親と離婚したとのことでした。
もう三十代半ばを過ぎていたからかどうかはわかりませんが
ぼくの身体に、被差別部落のひとの血が流れていることに
なにも恥じる
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