詩の日めくり 二〇一四年十二月一日─三十一日/田中宏輔
市の職員によって救い出され
病院に入っていたのだけれど
足かな
膝かな
歩くのに不自由していたのだけれど
そのボロボロのコジキ姿を見かけると
ぼくは、とても強い好奇心にかられた。
そのひとの過去が自由に頭のなかで組み立てられたからだ。
何才くらいだったのかな
70才は過ぎてたと思うけど。
もしかしたら、過ぎてなかったかもしれない。
あるとき
祇園の八坂神社の向かって左側の坂道で
父親とぼくが
河原町のジュリーが足をひきずりながら歩いてくるのを見ていた。
ジュリーが近くまでくると
父親がタバコの箱を手渡した。
ジュリーは
脂まみれの
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