詩の日めくり 二〇一四年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 
、河原町のジュリーと、堀 宗(そ)凡(ぼん)さんのこと」

ぼくが子どものころ
祇園の八坂神社の石段下で
よく、100円オババの姿を見かけた。
着物姿の、まあ、お手伝いさんって感じのババアだった。
うちにも、ぼくや弟たちが子どものころは
お手伝いのおばあさんがいたのだけれど
うちのお手伝いのおばあさんたちのほうが
だんぜん清潔っぽかったし、見た目もよかったし
なにより、ずーっと穏やかな感じだったように思う。
いまだに、おふたりの名前は覚えている。
おふたり以外のお手伝いのおばあさんたちの名前は出てこないけど。
すぐ下の弟のほうは、「あーち
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