冬の花びら時の河面/ただのみきや
 
ま}の段
カゲロウ死んだ
うわの空
月の下で
円い猪口
草深い声で
市場の魚の話をしたり
酒のしたたり
したり顔の舌足らず





仮面

濁った川にぬっ と浮かぶ
謂(いわ)れを失くした面がある
懐かしむようで戸惑うような
縋るようで 命じるような

剥ぎとられて生乾きの
目も鼻も口も定かではない顔に
川から拾ってあててみる
大きな絆創膏でも貼るように

途端に馴染んで
何者かの生が流れ込んで来る
仮面の数だけ生はある
仮面のための身体となって





夢想

白紙になりたい
書き続け
書き終わり
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