低愚脳詩集/道草次郎
 
いく鹿
乳がゆ

仏陀も
生まれない惑星



8「当たり前」

ただ生きているだけでいい
ただ存在しているだけでいい
存在していなくてさえ
いいのだから

9「四季」

夏。
草が
そよそよと
軽くなることを
まず
思い出そうとして
いた

秋。
麦わら帽子の
黒ずんだ紐をあらって
暗くなるまで
サンショウウオの事を
考えたりして
いた

冬。
ツキノワグマの
親子と
出くわし
談合
した

春。
剥離剤で
指紋を消して
惑星で一番素晴らしい
夕焼けを
みた


10「無題」

時は間違いだ
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