破断された時間/道草次郎
の変わりようは予期されたろうか。いや、されてはいなかったはずだ。可能性の一つとして空想されたものの、現実になろうとは。
ぼくはつくづく自分の墓穴を深く掘るように自らを組織し井戸の底に肩肘を浸けて君へ中指を立てているに過ぎなくて、たとえそれが愛に似た囁きだとしても。
どうかベドウィンよ、見抜いてくれとおもう。イスラム以前のアラブの現実主義にさらされた一個の岩として、ぼくは割られるべきだし、そこには地獄も煉獄も天国すらないのだ。
あの日々のことを拘っているのは他でもないぼくで、病的なのはぼくで、卑怯なのはぼくで、ずるいのはぼくで、生きるに値しないのはぼくで、とそんなことを言い続けても、君は君
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