隠喩のような女たち/ただのみきや
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十数年ぶりにカケスを見た
子どもが大人になる時間が経った
幸せの青い鳥でも
不吉な鳥でもない
手垢のない美しさで
カケスは飛び去った
山の方か 記憶の中か
私家版の時間の
見つけられない何処かへ
別種
岩陰に潜む蜥蜴の尻尾を切っては
まるで竜の首でも斬り落としたかのように
見捨てられ術もなく蠢いている尻尾
皆の前で突いている――たまらないのだろう
モラルと憐憫で武装した尻尾狩り
彼らが泣く時にはほくそ笑み
彼らが笑う時には一人泣いていよう
彼らの祝祭には喪に服そう
一本の樹のように退かず
しなやかにかわしていこう
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